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使用人達は一瞬固まったものの、気を取り戻した使用人達がワッとエリーゼとカノンに詰め寄り、二人を引き剥がす。
「お嬢様、お怪我は…!?」
「ぐすん…このお方の所為でありません…」
多少、服が汚れているだけで、全くの無傷な様子にホッと胸を撫で下ろす一同。
「ですが一応、お医者様に視て頂きましょう」
さぁさ、こちらへ。とエリーゼを連れて行く一同。
カノンの事など、すっかり忘れているようだ。
カノンにとっては好都合なのだが、この屋敷に忍び込んだ目的であるエリーゼを連れて行かれるのは困る。
使用人に囲まれているエリーゼの腕を、ガッと掴み、使用人に聞かれないように自分の方へと引き寄せ…
「-ボソッ-」
と、エリーゼに耳打ちをして、サッと離れる。
と言うよりも、逃げ出した。
その後ろ姿を見て、ハッと我に帰った使用人達は、カノンを追っていた事実を思い出す。
しかし、もう走っても追い付けない程遠くまでカノンは逃げてしまっていた。
「キサマーッ!今日の所は、お嬢様の命を救ったという事で見逃してやるが、次はそうは行かないからなぁ!!」
等の使用人達の忠告に、カノンはヒラッと片手をあげて応えただけで、一目散に屋敷の外へと去って行った。
「……逃げ足の早いヤツめ…」
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