逃避行

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コンコン。 と、窓をノックする音。 エリーゼは、ハッとして窓に飛び付いて鍵を開けた。 すると、昼間自分が飛び降りたテラスに、一人の青年が立っていた。 正装を凛と着こなすその姿は、ポロネーズに似ていて、エリーゼは息を飲んだ。 「あ…あの…貴方…は…」 しかし、よく見ると全然似ていない事に気付く。 髪はボサボサなのを、何とか綺麗にまとめといる、といった感じだし、纏っている雰囲気も、どことなく悲しげで。 (…私と似ているのかも知れません…) すると青年は、スッと方膝をついて、エリーゼに頭を下げた。 「お迎えにあがりました。姫君。」 その優しげな声に、エリーゼは今、目の前にいるこの青年が、昼間出会った青年だと気付いた。 「貴方、もしかして、昼間の不審者さんですか!?」
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