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―どうか、コレを…彼女に…―
「…酷い奴だな。お前は…」
自嘲的に笑うとカノンは、手のひらをぎゅっと握った。
目の前には、大きな屋敷。この街の貴族の一つ、グレイス家の屋敷だ。
陽光が降り注ぎ、一見穏やかな雰囲気に包まれている様に見える屋敷だが、ひどく静かで、哀しみに包まれている事が解る。
「さぁて、オヒメサマは何処に居るのかな?」
バサッとマントを翻し歩きだす。
向かう先はこの屋敷の一人娘、エリーゼ。
親友の、恋人。
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