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「どうしよう…。完ッッッ全に迷った…!」
威勢良く屋敷に踏み込んで来たのはいいが、そこは貴族の屋敷。
だだっ広い敷地をウロウロしていたら、すぐに使用人に見つかり不審者として追いかけ回された上、その所為で迷子になって…と散々な目にあったのを思い出し、ガックリと肩を落とすカノン。
「俺って、そんなにも不審者に見えるか…?」
改めて自分の姿を見てみる。
髪の毛は元々クセが強いので、ボサボサなのは仕方ないとして、薄汚れている上に、長旅の所為で裾がボロボロになったマントを羽織っている。
「……うん。何処からどー見ても、不審者だ!」
などと妙に自信たっぷりに言っておいて、軽く落ち込む。
「はぁ…オヒメサマは何処に居るんだよ…」
「いたぞーっ!」
「ああっもうっ!ちょっとは休ませてくれー!!」
遠くから声がして、カノンは反射的に逃げる。
使用人以外にも、警備兵の姿も見える。ここで捕まると確実に牢獄行きだ。
闇雲に走り出したカノンをフッと影が包む。
不審に思い上を見上げると、そこには人影が。
金髪の髪、陶磁器のように白い肌、瞳は美しいエメラルド色。
そんな人影が自分目がけて降ってくる。
まるで天使だ……
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