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(マジで一瞬天使かと思った…
こりゃ、あいつが心底惚れるのも解るわ…)
そんな事を思いながら、エリーゼを見つめていたカノンをキッと睨み付けたエリーゼ。
だが、その瞳には涙が滲んでいる。
「どうして死なせてくれなかったのですか!?」
「…は!?」
ガッとカノンの襟首を掴むと、激しく揺さ振りながらエリーゼは続ける。
「何で私の下に貴方がいるんですかー!貴方がいなければ、私は今頃彼の元にいけたのにぃー!!」
わぁぁぁん!と、とうとう大泣きを始めてしまった。
どうしていいのか解らずに、オロオロしていると、カノンを追い掛けていた使用人達が集まってきた。
さらに、エリーゼが飛び降りたであろうテラスから、メイド達も顔を出している。
「エリーゼお嬢様!?何故そんな所に!?」
「お怪我はございませんか!?」
等と、彼女を心配する声が聞こえる。
と、同時にカノンへ向けて発せられた声も聞こえる。
「貴様、お嬢様に何をしたぁっ!!」
今にも掴み掛かりそうな剣幕で、使用人達が迫って来た。
実際には、カノンの上にエリーゼが乗っかっているため(しかもまだ、胸ぐらを掴んでいる)引き剥がそうとして近づいているのだが。
使用人達の殺気にカノンは必死に弁明した。
「俺は何もしてないっ!!この子が勝手に俺の上に降ってきたんだ!むしろ、この子の命の恩人だ!」
「そうです!このお方は、私の自殺の邪魔をしたのです!!」
エリーゼの、このトンでもない発言に、周りの時間が一瞬凍る…。
無理もない。この屋敷の一人娘が自殺に失敗した、と言っているのだから。
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