詐欺師・宇野真の論理

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人が生まれた時、一番最初に 親から貰うものは愛情、 その次に名前だ。 画数とか流行で決めることも あるが、大抵の親は子供の名前に彼らの願いを込める。 頭が良くなるようにとか、 立派な人になるようにとかだ。 子供にとっちゃイイ迷惑だ。 が、逆に、人の名前とは、その人にとって一番足りないものを表していると聞いた事がある。 例えば、『愛子』だったら愛が足りない。 『賢治』だったら頭が悪いって事だ。 俺の名前は『真』。 そう、ご察しの通り、俺に足りないものは『真』そのものだ。 親は、嘘をつかないように、 真面目な人間に成る様に願いを込めて、この名前をつけたのだろうが皮肉なもんだな。 …いや待てよ、一個は願いが 叶ってるか。 俺はいつだって真面目に、嘘をついてる。 まだ保育園に通っていた頃、 『ヨーグルトには毒が入っているんだよ。』と言って、隣りの女の子からヨーグルトを頂いたのが、俺の嘘つき人生の始まりだった。 嘘をつけば、美味しい思いを 出来ると知った俺が、マトモな職に就くと思うか? 答えはもちろん、ノーだ。 俺達詐欺師にとって、嘘をつくのは日常だし、それがイコール真実なんだ。 そんな事ばっかりして、良心が痛まないのかだって? 昔の偉い人も言ってるだろ? 「騙されるヤツが悪いんだ。」
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