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この俺、宇野真の日常は、嘘で成り立っている。
名を名乗る時は常に偽名。
財布の中にある十枚以上の
カードには、一つとして
同じ名前が記載されてない。
ある時は『鈴木一郎』
またある時は『佐藤太郎』
俺は実に、数百以上の偽名を
日常で使い分けている。
それと同様に、俺は名前と同じ数の職業を持っている。
『政治家』から『遊園地で風船配る人』まで、ありとあらゆる業種が俺の職業なのだ。
俺には、詐欺師としての3つのポリシーがある。
まず第一に、仕事は選ばない。依頼者との条件さえ合えば、
保険金詐欺にも、結婚サギにもオレオレ詐欺にも手を出す。
次に、依頼は必ず達成する。
まるでゴルゴ13の様に、
俺の依頼達成率は、120%を
常にマークしている。
そして最後に、もう一つ。
これが一番重要な事だ。
それは、いつ、いかなる時も
『マジにならない事。』だ。
これが、俺にとって一番重要な信条だ。
一つのものにマジになると
良いことがない。
恋愛なんかがイイ例だ。
全ての人間、出来事から一線を画し、常にクレバーに徹する。
これが俺の詐欺師としての、
いや、俺という人間に課した
三つのルールだ。
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