✨ビンタのご褒美は✨

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  得意気に遼子がテーブルの上に置いたのは──。 小さくて薄くて四角くて、吹けば飛んでしまうようなもの──。 「何これ?」 「見れば解るじゃん。名刺」 「それくらい解るわ!」 「誰の名刺だと思う?」 遼子がにやにやしながら、わたしの目をじーっと見つめる。 わたしはその名刺をとりあえず手にとった。 なんてことはないシンプルな白い紙。  横書きで会社名と、名前と電話番号が書いてある。 鞠村柊吾──まりむら……しゅうご? 俳優かっ!? 「誰?」 「ふっふっふ」 遼子が、さも楽しげに腕組みをして笑ってる。 「もったいぶるなっ」 わたしは思わず身を乗り出した。 だって、めちゃめちゃ気になるじゃない。 いきなりこんな名刺差し出されて。 「スーツ男だよ」 遼子が簡潔に言った。 「……」   「あれ? 反応薄いな」 鞠村柊吾……。 スーツ男の名前。 かっこよすぎる。 でも、彼にとても似合いの名前だと思った。 「……けどさ、なんでわたしに?」 「とぼけんな。気になってるでしょ?」 「はぁ!?」    
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