✨つかの間のどきどき✨

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  その日からわたしは、少しずつだけど意識しなくても自然に笑えるようになっていった。 トワは相変わらず飄々とマイペースで仕事をしている。 その姿がまだ勘に障ることはあったけど、それよりも、素直な気持ちで柊吾さんの来店を喜べる自分が嬉しかったから、トワの存在自体のストレスはずいぶん減ってきていた。 わたしの心のもちようが変わったからといって、柊吾さんの態度が急に馴々しくなったり、明るくなったりすることはなかった。 作り物みたいなキレイな横顔を見せて、低い声でオーダーをする。 笑顔になることもなかったし、彼から声をかけてくれることなんて、間違ってもなかった。 それでもよかったんだ。 こんなふうに自分から憧れて、どきどきすることって今までなかったから。 指輪はしてないけど、もしかしたら結婚してるかもしれないし、恋人がいるかもしれない。 うん。いない方が不自然かも。 期待しないぶん、気持ちはすごく自由で楽だった。 柊吾さんがきてくれるのを心待ちにしている時間が、一番わくわくして幸せだった。  
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