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しかし女生活環境が整っていないというのは、予測以上に切実な問題だ。
消防吏員の大半は、常時非常時共に顔を付き合わせなくてはならず、その拘束時間は長い。
つまり職場というよりは、共同生活の場なのだ。
そんな所で、女一人が男達と変わらぬ生活をしろという方が無理がある。
男女平等化とかいう目標で突っ走る変わりに、マナーとかルールをひき逃げする覚悟がなけりゃ難しいだろう。
なにより共に働く彼等が、年の離れたおいさんとか、じっちゃんならまだいい。
だけど。
けれども。
何故か枝葉署の職員は、若年層が格段に多く、オマケにイケメン揃い。
特に配属先である第二小隊のレベルは高く、恋愛に疎い若桜でさえ、どぎまぎする事も稀じゃないのだ。
着替えに鉢合わせしようモンなら、こっちが痴女に降格されちゃうな、たぶん。
そんな汚名が、片思いのあの人の耳に入る事だけは、避けたかった。
最終的に更衣室兼用の仮眠室は空部屋を使わせてもらい、風呂は時間帯をずらして女性入浴時間を作ってもらった。
けれどトイレはどうしようもない。
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