四友物産

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僕は負けないくらい頭を下げて、顔を真っ赤にさせてビルを後にした。 ちきしょーっ! 緊急に会議が入ったんだろうな。 清美を責めるわけにはいかない。 五分もかかっていないやり取りだったけど、僕は相当の疲れを感じていた。 参ったなぁ。 しかし。 上から物を見てくれる。 会社の規模だけで判断しやがって……。 あの白石とかいう女。 ……。 いや、負けてられない。 僕は携帯を取り出すと四友物産にかけた。 「おはようございます。『博通』の上園と申しますが、営業部開発課の白石さんいらっしゃいますでしょうか?」 「……白石は私ですが」 電話を取ったのは本人のようだった。 しかも先ほどの僕だとわかったみたいだ。 「フリーペーパーの企画書をご覧になって頂きたくてご連絡させて頂きました。アポイントを取らせて頂きたいのですが?」
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