プロローグ

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男としてしっかりとした仕事ができるようになりたかった。 週末を清美のマンションで過ごすようになって一年。 大学時代から交際を続けている清美との結婚を考えていた。 まだ口に出しては言えないけど。 「うちに企画持ち込んでみたら? 部長に話してみようか?」 清美は一部上場企業の総合商社『四友物産』で営業事務をしている。 外回りする営業社員の補佐的役割だ。 違う会社とはいえ、営業をやっている僕の気持ちをよくわかってくれる。 それでもこの二年間で、仕事の口利きを頼んだ事はない。 僕にも意地があったから。 でも、しっかり足を地につけて清美と結婚したい。 その思いが心の中で膨れ上がり、僕は今回とうとう清美に口利きを頼む事にした。
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