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「さっきの事。」
「あぁ…はい,大丈夫です。」
あんな陰険教師に負けません,と言ったらあははと笑われた。
その笑顔に思わず自分の口元と目が緩んだ。
あっと思った時にはもう,目の前には驚いた顔。
「笑った!」
「へ?」
「今笑ったろ!?初めて見た!いつも微妙な笑みしかしないんだもんな~。でも,うん。」
「?」
「すげー可愛い。」
ドクン。
先輩の笑顔の方が可愛いですって言いたかったけど,言えなかった。
さっきから心臓がドキドキと煩い。
そんな顔見せないで。
気持ちが,想いが,溢れてきちゃうから。
「先輩,好き…です…。」
「……え?」
「!!」
私,今なんて?
好きって言った?
先輩を好きって…。
「っ!!」
「あっ,待てよ!」
気付いたら走ってる自分。
だって聞かれた。
私がどう思ってるか。
先輩に対する気持ちを。
でも,それよりも何よりもあの先輩の驚いた顔。
さっきのとはまた違う,信じられないって感じの顔。
迷惑だよね。
私なんかが先輩を好きなんて。
そう思ったら足が止まらなかった。
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