―心は曇りのち晴れ―

17/20
前へ
/22ページ
次へ
「さっきの事。」 「あぁ…はい,大丈夫です。」 あんな陰険教師に負けません,と言ったらあははと笑われた。 その笑顔に思わず自分の口元と目が緩んだ。 あっと思った時にはもう,目の前には驚いた顔。 「笑った!」 「へ?」 「今笑ったろ!?初めて見た!いつも微妙な笑みしかしないんだもんな~。でも,うん。」 「?」 「すげー可愛い。」 ドクン。 先輩の笑顔の方が可愛いですって言いたかったけど,言えなかった。 さっきから心臓がドキドキと煩い。 そんな顔見せないで。 気持ちが,想いが,溢れてきちゃうから。 「先輩,好き…です…。」 「……え?」 「!!」 私,今なんて? 好きって言った? 先輩を好きって…。 「っ!!」 「あっ,待てよ!」 気付いたら走ってる自分。 だって聞かれた。 私がどう思ってるか。 先輩に対する気持ちを。 でも,それよりも何よりもあの先輩の驚いた顔。 さっきのとはまた違う,信じられないって感じの顔。 迷惑だよね。 私なんかが先輩を好きなんて。 そう思ったら足が止まらなかった。 .
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加