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後ろで名前を呼んでるのが聞こえるけど,振り返る事なんて出来るわけない。
答えを聞くのが,怖い…!
きっと私は泣きそうな顔してると思う。
通り過ぎる人は皆,びっくりした顔してる。
だけど私は止まらない。
止まれ,ない。
「だぁ~!待てって!!」
「!!」
パシッ。
叫び声と共に掴まれた腕。
触れられてる部分が熱い。
体温が一気に上昇してしまったみたい。
…もう,限界…。
「…っ…。」
「!?オ,オイ,何で泣いてんだよ…?」
「何でも,ないです…。」
「じゃあ,何でもないのに何で泣くんだよ?」
困惑した感じの優しい声が聞こえる。
でも,理由なんて言えない。
こんな惨めな自分,知られたくないから。
そんな何も言わない私に痺れを切らしたのか,強く腕が引っ張られた。
「来い。」
「……。」
圧力のかかった声に私は首を縦に振るだけ。
声は出さずに,そんな自分が悔しくて唇を噛む。
ずっと下を向いていた私には先輩が何処に向かっているか分からなかった。
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