―心は曇りのち晴れ―

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「阿相,またお前か。」 「……。」 ふん,と鼻で笑う教師を思わず睨み付けそうになる。 (……はぁ。) 私,阿相 巫紅(ああいむく)ここ青帝高校の一年生。 うちの学校では毎週月曜に校門で服装チェックが行われている。 で,今その(面倒くさい)服装チェックの真っ最中。 いつもは引っ掛からないけど,ある時だけは引っ掛かる私。 それはどういう時かというと。 「その茶色の髪を黒に染めろと何度も言っているだろう。まったく。勉強が出来るからって生活態度がこれじゃあな。」 「……。」 (また,か。) そう。 私はこの色素の薄い髪のせいで,こうやって呼び止められる。 それも嫌味付きで。 「他の先生方は見逃してくれるかもしれないが,私の目は誤魔化せないぞ。」 言って口角をくっと上げて笑う。 この先生は陰湿で有名だった。 気に入らない生徒が自分の受け持ったクラスにいるとわざと難しい問題を解かせようとしたり解いた問題の粗を見つけてネチネチと行ったり。 (本当,人の事なんだと思ってんのかしら。) .
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