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結局は、外面ばかりを気にしているのだと、実感した。
入院している間も勉強をしながらリハビリをして、退屈な毎日を過ごしていた。
学校にも行けず、二ヶ月の間は治療に専念をし、退院後は通院をしながら学校に通うことになった。
二ヶ月という時間は長かった。
合同学園祭も終了し、久々に生徒会室に顔を出すと、和臣の雰囲気が変わっているのだ。
刺が取れたというか、幸せのオーラが体中に溢れている感じで、彰文は驚きを隠せなかった。
(俺がいない間、何が起きていたんだ?)
親友の、憧れの人の異変に疑問を感じながら、彰文は以前のように塾と学校と家の往復の生活を送っていた。
そこで、和臣が変わった原因を目の当たりにしたのである。
今でも覚えている。
二月の生徒会選挙が終わった日の夕方。
学校の図書館で塾の予習をしていた彰文が、駅に向かって歩いている時だった。
たまたま視線を真正面からチラッと横に向けてみると、駅前の喫茶店から見知った顔が出てきたのである。
和臣だ。
彰文は足を止めて、声を掛けようとしたその刹那。
和臣の背後からは翠嵐学園の制服を着た、茶髪の男が出てきたのである。
そして互いの顔を見て笑いながら話していると、二人で駅へと向かっていく。
(春日と・・・あの男は?)
ふと、先日のことを思い出す。
生徒会室で新庄に頼まれていた書類を作成していると、佳枝が理香とお菓子を食べながらある人物の話で盛り上がっていた。
その人物とは、翠嵐学園の副生徒会長で『翠嵐のプリンス』と称されている、菅生律【スゴウリツ】のことだ。
どうやら合同学園祭の打ち合わせの時に顔合わせをしたらしく、女子達は嬉しかったようだ。
(うるさい・・・。)
彰文はイラッとしながらも書類を作成していると、理香の口から話題に対して驚きを隠せなかった。
「知ってた?菅生君と春日。あの合同学園祭以来から急に仲良くなったんだって!」
「マジで?でも、菅生君って、春日の幼馴染の元カレでしょ?仲良くていいの?」
「知らない。でも、周辺の学校の女子の間じゃ、有名らしいよ!目の保養になるって!」
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