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理由は、彰文が約束を破ったから。
一緒に頑張ろう!と約束をして、生徒会に入ったのに、彰文は実行していないのだ。
口だけの人間が大嫌いな和臣にとって、彰文は見事に怒りの対象である。
その上、生徒会顧問である新庄順一【シンジョウジュンイチ】からも彰文より、何故か和臣に頼られているので、それも怒りの原因かもしれない。
和臣の中学時代のことは、近隣中学校では有名である。
表では完璧な優等生を演じていたが、裏では警察沙汰寸前までの問題を起こしている問題児。
松蔭に入った理由が、折角決まっていた私立高校の推薦を、ある問題が発覚した為に取り消されたという。
その問題が二重の生活だ。
たまたまサッカー部が招待試合をしていたので、その応援に来た和臣を、試合相手の学校のサッカー部の補欠が見て殴り掛かったのである。
事情を聞いてみると、補欠の選手は一週間前に、小学生を相手にカツ上げをしていたところに荒れていた和臣と遭遇。
ボコボコにされたところを巡回していた警察官に発見され、和臣は逃走。
ボコボコに殴られた生徒は、彼に被害を受けた小学生達の証言により補導。
問題にはならなかったものの、折角レギュラーを獲得した彼は一気に補欠に戻されたのである。
完全な逆恨みだが、優等生だった和臣の正体が知られた途端、周囲は彼から一線を置くようになってしまった。
学外受験生である彰文と佳枝は、情報通の理人からその話を聞いて驚きを隠せなかった。
本人曰く『俺も若かったからなあ。』と笑っていた。
(笑い事じゃないような・・・。)
その事が発覚しなければ今頃、和臣は有名私立高校に進学しているはずだ。
だが、本人は全く気にしていない。
むしろそれがきっかけで荒れていた生活から打破できたというのだ。
和臣の過去を聞いて、彰文は思った。
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