3人が本棚に入れています
本棚に追加
どうやら、勇司が躓いた物は先程の箪笥のカケラだったようだ。
……引き出し部分だったみたいだが、勇司はこれに気づけなかったのだ。
(……いったん、止めさせよう)
原因だけでもわからないかと、勇司の様子を見て分析していた大和は手で頭を押さえた。
(これは、勇司がドジなせいだな。怪力であるせいで被害が倍増している)
普通の人ならば、本人が怪我をするはずなのだが、勇司の場合は物が先に壊れる。
つまりは、勇司の咄嗟の怪力や不注意等を治さないといけないわけだ。
(前途多難、だな)
大和は未だにテーブルに挟まれたままの勇司に近寄る。
勇司の怪力ならば、テーブルを直ぐにでも退かすかと思ったが、ピクリとも動かない。
「……勇司?」
恐る恐る声をかける。
返事がない。
勇司から何か音がしたので大和は耳を澄ました。
すするような音と、しゃくり上げるような勇司の声。
……テーブルに挟まれたまま、泣いているようだ。
大和は勇司の上にある壊れたテーブルを退かそうとするが、完全には持ち上がらなかったようで、横にずらして置いた。
勇司の顔を覗き込むと、子供のように泣きじゃくっていた。
最初のコメントを投稿しよう!