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「……俺、お嬢の役に立てますかね?」
勇司は不安そうに……だが、どこか期待するように尋ねる。
大和はそんな勇司から撫でていた手を離し、立ち上がる。
「知らん」
勇司を見下ろしながら、手を腰にあて、きっぱりと言い放つ。
勇司はポカーンと大和を見上げていたが、直ぐさま大和に縋り付いた。
「ちょっと、冷たくないですかぁ!?」
「冷たくない。いいから、離れろ」
縋り付いている勇司をもう一方の足で蹴る。
そんな大和に勇司は負けじと足を離そうとしない。
「こういう場合、嘘でも役に立つって言うんじゃないですか!?」
「嘘つく意味はない。大体、朔夜様がどう考えるかは別で…………ん?」
大和は何かに気づいたのか、勇司を引き離そうとするのを止めた。
「……どうしました?」
「いや、家具とかの物は直ぐ壊すわりには、お前が掴んでも痛くないと思って……」
大和の言葉に勇司は掴んでいた手を離す。
そして、不安そうに大和を見た。
「……痛く、ありませんでしたか?」
「痛くないと言ったはずだ。お前の力が発揮されるのは物だけなのか?」
先程まで勇司は縋り付くように、大和の足を掴んでいた。
だが、大和は怪我をしていないし、痛みも感じてはなかった。
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