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そして、木片を持ったまま大和は部屋を出て、玄関へと向かっていく。
「ちょ、待って下さい!」
慌てて勇司は大和を追いかける。
「……後は一人でも大丈夫だろ?」
「大丈夫かもしれませんが、一人は嫌です!」
握りこぶしを作りながら、そう言いきる勇司はとても情けなかった。
じと目で大和は勇司を見て、深い溜息をつく。
「……自分で言ってて、恥ずかしくないか?」
「仕方ないじゃないですか。不安なんですから」
「暫くしたら必ずまた来るから、それまで一人で頑張れ」
「……ぅう……わかりました」
大和はさっさっと家屋から出ていき、勇司は一人取り残された。
諦めたように、勇司はとぼとぼと中に戻る。
(……言いだしたの、大和さんなのに)
心の中でねちねちと文句を言う。
だが、仕方ないのも勇司はわかっていた。
元々、この屋敷で働いている使用人は、勇司を入れて三人。
……本当はあと一人いるらしいが、行方不明らしい。
(……お嬢、怒ってるだろうな)
仕事をサボっていたようなものだ。
怒るのは当然である。
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