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その頃、黒髪に黒い目の黒の執事服を来た青年が箒と袋を片手に持って、荒れ果てた部屋に入った。
執事服の胸元には、赤いスカーフが巻かれているのだが、蝶のような形になっていた。
……彼が朔夜の捜している、勇司である。
彼女達の読み通りに、半壊しかけている部屋を片付けるつもりのようだ。
「今度こそ、慎重に……慎重に」
自己暗示をかけながら、恐る恐るといった感じで箒を両手を持ち、壊してしまったものを一纏めにしようとする。
壊れたテーブルに手をかける。
どうやら、テーブルの破片を集める為に、形が残っている部分を退けるようだ。
「よっ」
片手でテーブルを持ち上げた。
まだ、ある程度の形が残っているというのに、片手で持ち上げてしまった。
勇司は人並み外れた怪力の持ち主のようだ。
だとすれば、この部屋の惨状もわかる気がする。
勇司は左手でテーブルを持ち上げ、右手の箒で破片をかき集める。
……別に、ずっと持ち上げている必要はないと思うのだが。
その事に勇司も気づいたのか、テーブルを少し離れた所に置こうとした時だった。
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