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「……あ」
手が滑ったのか、勇司はテーブルを離してしまい……しかも気が緩んでいたのか、力を抑えられずにいたせいで、物凄い勢いでテーブルが壁に叩きつけられてしまった。
壁に激突したテーブルは砕け、ただの木片と化し、原形を留めていなかった。
しばらくの間、勇司は固まり、それを凝視していたのだが、テーブルを持っていた左手を見て、
「あちゃ~」
と気の抜けるような声を出した。
「あちゃ~じゃないわよ!あちゃ~じゃっ!」
ちょうどやってきた朔夜は、息を切らしながらも勇司に向かって言う。
少し遅れて、理奈もやってきた。
「あ、お嬢」
「お嬢って呼ぶんじゃないって言っているでしょ!この惨状はどういう事なの!?」
朔夜はつい先程、完全に形がなくなった元テーブルを指さして言う。
「あはは、またやっちゃいました……てへ」
「……(ブチッ)」
朔夜が怒っていれのがわかっているはずなのに、勇司は開き直るように言う。
その様子を見ている理奈はハラハラしていた。
(……お、お嬢様が怒りで震えていらっしゃる!?)
下を向き、無言でいる主に理奈は戦慄した。
気づいていないのは勇司ぐらいだ。
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