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『中学の時に、美容室に行ってみたんだけど…。
自分がしたい髪型を上手く伝えられなくて…私がなりたい髪型じゃなくなって……それで…。』
「あ~…いるよなぁ…。たまにそういう美容師。
客の要望をちゃんと聞かないで、自分がしたい髪型にしちゃう奴。
あ、じゃあさ……」
桐谷くんはガサゴソと、自分のバックから何かを探し出した。
私は何の音かと思い、桐谷くんの方へと振り向いた。
「え~と、あったあった!これこれっ!!」
そう言って桐谷くんが出したのは、1枚のチケット。
「これさ、俺の行きつけの美容室の割引チケットなんだ。
ここなら間違いないから、騙されたと思って行ってみなよ。」
『で、でも…。』
桐谷くんは私にチケットを差し出して、笑顔を私に向ける。
「とりあえず行ってみてさ、髪型変えたくないなら揃えるだけでもいいじゃん。
それくらいなら、言えるっしょ。」
『……う……ん。』
それくらいなら…と思った私は、桐谷くんからチケットを受け取った。
『ありがとう。』
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