それはある日突然

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放課後――… 『えっと……この辺りかな?』 私は割引チケットの裏に書かれた地図を見つめながら、歩いていた。 “ドンッ” 『んぷっ!?』 「わっ!!」 『あっ、ごめんなさいっ!』 私はチケットばかりを見ていて、前に立っていた人にぶつかってしまった。 謝ったと同時に下げた頭を上げると、そこには背の高いかっこいいお兄さんが立っていた。 精悍で整った目鼻立ち……髪は短めで真っ黒のツンツン。 「あ、いいよいいよ。俺も周りを見てなかったし。 君こそ大丈夫?思いっきり俺の背中にぶつかったよね、顔。」 そう言ってお兄さんは、私の顔に触れようとした。 顔に触れようとするのがわかった私は、その手から逃げるように後ろに1歩下がった。 『あ、あのっ!大丈夫ですから!!』 私は右手を顔の前に出して、パタパタと左右に振った。 「そう?ならいいけど……あれ?」 お兄さんはそう言うと、私の左手に視線が移る。 その視線の先にあるのは、桐谷くんにもらったチケット。 『あ、この場所を探してて……』 私はそのチケットをお兄さんに見せた。
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