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「お前ね、旅行に行くならホテルの連絡先位誰かに知らせるもんだろ?」
「そっ、そうですか?」
「そうなの!……ったく、俺がお前を見つけるのにどれだけ苦労したか…。」
そう言って、司さんは深い深い溜め息を吐いた。
その吐息がさっきから、私の首筋に当たり、くすぐったいやら恥ずかしいやらで落ち着かない。
「……もしかして…4日前から居ました?」
「居たけど、何で?」
(……やっぱり雨ってこの人のせい?)
「…おっ、完全に陽が沈んだな。」
いつの間にか茜色から暗やみに変わったビーチは、意外に寂しく感じなかった。
暫く2人で無言のまま波の音だけを聞いていた。
静寂を破ったのは司さんだった。
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