は・じ・ま・り

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『累、ちょっと来なさい』 父上の声がする。 私を呼んでるの…? 閉じていた目を開くと、眩しい光が飛び込んで来た。 「あれ…私、寝ちゃった?」 『累、累。早く来なさい』 起き上がって開(ハダ)けた着物を直すと、また父上の声がした。 うるさいなー… そんなに急かさなくても行くのに… 「父上、なに?」 声のした方へ向かうと、誰かと話している父上がいた。 誰だろう…? 此処からじゃ柱と壁が邪魔して誰と話してるのかわからない… 「父上っ」 今度は少し大きな声で呼んでみる。 あ、こっち見た。 やっと気付いたよあの人。 父上って最近耳が遠いな…。 『おお累!やっと来たか!』 さっきから此処に居ましたよ。 あたしに気付いた父上は足速に近付いて来た。 そして私の腕を掴む。 ちょ、着物伸びるって! 『累、今日からお前が世話になる新撰組局長、近藤勇さんだ!』 『君が累さんだね、よろしくお願いします』 父上がビシッとキメた先には、がっちりした男の人がいた。 え……? 男…男男男男男…男…男… 「新撰組ぃぃぃいい!!??」 私は瞬間的に後退りする。 『すみません近藤さん。累は大の男嫌いでして…』 ち、ちち父上!? その人男じゃない!? その人男だよね!? お世話になるってなんなの~!?  
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