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「恭一君?あ、やっぱり恭一君だ」
「へ?あ、松江さん」
講義室までの廊下、背後の方から聞き間違えるでもない、松江 若葉さんの声がした。
慌てて振り返れば、やはりそこに居るのは彼女で、こっちに緩く手を振りながら近づいてくる。
「どうしたの?こんな所でボーっとしてて」
「いや、別に…今度の哲学の試験、頑張ろうかなって」
苦笑しながら答えれば、「試験嫌だ~」なんて可愛い返事が返ってくる。
松江さん、っと言うか、若葉さんは美人で優しくておしとやかで、大学のマドンナ的存在なのに、こんな僕とでも気軽に話してくれる。
そう言えば、凄くモテるのに恋人を作らないって噂があったな…
「そんなに見ても何もでないよ?」
「ッ!ごめん」
無意識に見つめてしまっていたのか、直ぐに目を伏せる。
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