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とある荒れ果てた渓谷のとある場所。巨大な岩石の陰に身長7メートル程の人が隠れ、身を潜め、何かを探している。
正確に言えば人では無い。人の形をした機械、簡単に言えばロボットだ。
世間ではそれらの総称を「パーソン」と呼んでいた。
そのパーソンは1本のライフルを両手でを抱えている。
右手を引き金に、左手を銃身にといった具合にだ。
黒いパーソンは新国連軍が主に使用している「PEー21」、通称「オーガ」。
パーソンの中でも質素なデザインであり、大量生産を目的としているため、機体の性能はたかがしれている。
黒いオーガが隠れている岩石の向こう側には同型の白いオーガがいた。
白いオーガは周囲を警戒しながら一歩一歩足を進めているが、黒いオーガとの違いはライフルを持っていないという点である。
ライフルを落としたのか、破壊されたのか、それとも故障したのか、定かではない。
だれもが白いオーガが圧倒的に不利と思う状況である。
「こいつはもらったな。」
黒いオーガの中、まだ若い男は勝利を確信し、思わずそうつぶやいた。
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