Prologue-手のひらから序章-

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――どうしてこうなった? 「待てーっ!!」 背後から、黒スーツにサングラスをつけた、いかにもな男達が追い掛けてくる。 「このままじゃ、追い付かれちゃいます!! もっと早く走って下さいよ!!」 あいつらの目的は、俺が手を引いて一緒に走っているこの女の子。 別に、どこぞの貴族のお嬢様を可愛いからと思って誘拐したわけではない。 「追い付かれちゃいますって、お前がもっと早く走ってくれればこっちだって!!」 「ちょっと! “お前”って言うなって言ってるじゃないですか!!」 桜が舞う最中で、俺は新しい生活をスタートさせるはずだったのに。 「くそっ! 速いな……!」 新しい生活はおろか、平穏な日常すらも、桜の花弁と共にどこかへ吹き飛んでしまった。 「こうなったら戦うぞ、パラム」 「えっ……!?」 全ては 24時間前に――。
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