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ざっと見回した後、無難に低反発のシンプルな枕を選び、会計を済ませた。
全く何を考えてるんだ。巧も、枕を作った奴も。
あんなド派手な枕が隣に居たら、眠りにつくどころか逆に目が冴えるだろう。安眠妨害もいいとこだ。
しかし、この歳で彼女いない歴=年齢という等式が成り立つのも考えものだ。
そろそろ、彼女の一人や二人つくって青春したい。
大学受験の反動から、その思いは強くなるばかりだった。同時に焦りも募る。このまま甘酸っぱい時を過ごす時なく朽ちていくのではないか、と。
だが二十歳になっても彼女が出来ない奴が側に居るので大丈夫か、と些か頼りない根拠であるが安心はしていた。
けれども、その安心はモノの数秒で崩れ去る。
「買い物終わりか、ちょうど時間だな! じゃあ璃生、俺は“彼女”と待ち合わせがあるから!」
「はっ?」
驚くべきことに、この2年のうちに、この長身ボサボサ靴下履かない男に彼女が出来ていたのだ。
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