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アリスは一人、町を歩いていた。
クロウから預かった金で適当な食べ物と飲み物を調達し、それを食べたり飲んだりしながら町をながめていた。
毎回知らない町にたどり着くアリスには、これほど時間をつぶせる事はない。
今回も見て回るもの全てが新鮮で、いつものアリスならば楽しめるのだが……どうも、そんな気分にはなれなかった。
「…………。」
クロウの事……クロウは最近、何故か悪夢にうなされ続けている。
今朝のあれほどうなされた姿も、珍しくはなかった。
だが、剣を向けられたのは初めてだったが。
「……。」
ショックだった、と言えば事実、クロウが自分に、クロウ自身の暴走で刃を向けてくるなど、初めてだったからだ。
だが、それにも増して……クロウへの不安が募る。
そして、自分にも。
クロウが……何故、〝自分〟の名を叫びながらうなされているのか。
何故、私を呼びながら、私に剣を向けるのだろうか……。
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