忍び寄る悪魔

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魔王であるクロウの血には、マジックキャンセラーのロジックが組み込まれている。 自身より強い魔力、または同等の魔力を持つ者以外の魔法の類は効かないのだ。 よって、他のサキュバスにたぶらかされているはずはない。 だが、アリスは例外だ。 契約によって結ばれている二人は、それぞれ魔力を共有する存在になっている。 二人の魔力を合わせて、半分ずつ分けたと思えばいい。 クロウとアリスの魔力は同等なのだ、が、アリスにはその膨大な魔力を操作する事が出来ないため、魔力を無意識に押さえている。 クロウとアリスの戦闘能力の差はここにあるのだ。 だが、アリスの魔力が同等、と言う事は、アリスの魔法はクロウのマジックキャンセラーでは防げない。 つまりは、そういう事だ。 カルマはそれを言っているのだ、だが……。 「アリスがそんな馬鹿な事をするはずがない。」 クロウはそれだけは許さなかった。 今まで、すでに永遠に近い年月を共にしてきた。 辛い事、悲しい事など、二人で分けてきた。 アリスはクロウにとっても、かけがえのない唯一の身内なのだ。 それを疑える訳がない。
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