376人が本棚に入れています
本棚に追加
魔王であるクロウの血には、マジックキャンセラーのロジックが組み込まれている。
自身より強い魔力、または同等の魔力を持つ者以外の魔法の類は効かないのだ。
よって、他のサキュバスにたぶらかされているはずはない。
だが、アリスは例外だ。
契約によって結ばれている二人は、それぞれ魔力を共有する存在になっている。
二人の魔力を合わせて、半分ずつ分けたと思えばいい。
クロウとアリスの魔力は同等なのだ、が、アリスにはその膨大な魔力を操作する事が出来ないため、魔力を無意識に押さえている。
クロウとアリスの戦闘能力の差はここにあるのだ。
だが、アリスの魔力が同等、と言う事は、アリスの魔法はクロウのマジックキャンセラーでは防げない。
つまりは、そういう事だ。
カルマはそれを言っているのだ、だが……。
「アリスがそんな馬鹿な事をするはずがない。」
クロウはそれだけは許さなかった。
今まで、すでに永遠に近い年月を共にしてきた。
辛い事、悲しい事など、二人で分けてきた。
アリスはクロウにとっても、かけがえのない唯一の身内なのだ。
それを疑える訳がない。
最初のコメントを投稿しよう!