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その頃アリスは、日も暮れて来たのを見計らい、クロウが待つ宿に向かっていた。
たっぷりと歌の練習も出来たし、新しい歌詞も思いついた。
上々の出来に満足しながら歩いていると、ふと、背後で何かが動いた気がした。
「……?」
振り返るが、何もいない。
だが……おかしい。
「………。」
アリスは少し早く歩き出す。
気配は無い、見た限り誰もいない……だが、おかしい、おかしいのだ。
今は日も暮れ、そこそこに暗くなり、確かに月も出始めているのに、おかしい。
自分はどこを歩いている?少なくとも人間が住む街だぞ?
何故、〝誰もいない?〟
「勘がいいね、アルテミスリードの従者。」
「!」
どこかから聞こえて来たのは、どこかゾッとする様な雰囲気の、美しい青年の声だった。
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