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とある辺境の魔界で、二人は向き合っていた。 「これから俺は、別の世界に行く、どこか俺の事を狙って来る奴がいない、遠くへだ……着いて来てもらうぞ。」 「…っ……こく」 声のない鳴咽を漏らしながらも、赤い髪の少女は頷いた。 右手に刻まれた魔法陣の刻印は微かに魔力を漏らしながら爛々と輝いている。 黒い髪の男はただの気まぐれの契約に何も思わなかった。 ただ、それを自然と行った事についても、何も。 ……あぁ、この瞬間は今も覚えている。 それはすでに何年前かすらもわからない、何千年か、何万年を超えたか。 時間的な事は何も。 ただ確かなのは。 ここから始まったと言う事実。 最強の魔王と、吸血鬼の歌奴隷の生まれ変わった瞬間だと言う事だ。 最強の魔王「アルテミスリード」のクロウは、それを客観的に見ながらそう思っていた。
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