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今朝にそんな事があってから、アリスはクロウの行動一つ一つに妙に意識する様になってしまった。
食事の時やら、買い出しの時やら、とにかく色々だ。
「……アリス。」
「……?」
「その…悪かったな、今朝は。」
「ふるふる。」
そうやって首を横に振って見せる……気にしてない、と言いたいのだろう。
言葉……声を契約の代償にしたせいで、アリスは言葉を発せられなくなっている。
もう何百年とこうなのだが……やはり慣れるものではないだろう。
「……少し、散歩にでも行って来たらどうだ?」
「?」
「裏にあったろう、花畑だ、気になっていただろう。」
こう言う時にどうするものか試した事はなかったが、気分転換、と言うのが一番なのだ。
恐らく。
「………こく。」
頷くと、早速アリスは大きな本を抱えて部屋を出て行った。
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