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「こないだの休み明けテスト返します。順番に取り来てね。青木さーん……飯野君ー…………」
数学の時間
絵里奈がテスト答案を配り始めた。
俺は、頬杖ついてそれをぼーっと見つめる。
あそこで答案配ってる女教師と、こないだまで付き合ってましたー。
………なんて言っても、誰も信じねーだろーな。
「………椎名君ー」
名前を呼ばれて静かに席を立った。
「今回も頑張ったね……」
「………どーも」
ポツリとそう言った絵里奈を、出来るだけ見ないようにしてサッと答案を取った。
そして席に戻って再び絵里奈を見つめた。
バカじゃねーの。
あんな女、もうどーでもいいだろーが………。
未練がましい。
そう思っても、いつの間にか目であいつを追ってしまう自分がいる。
………ムカつく………。
「蓮、お前何点だったー?」
隣の席の中澤が、話し掛けて来た。
「んあ?90ジャスト。」
「マジかよ!?すげーじゃん。まぁ、お前数学得意だもんなー。」
別に得意っつーか、分かんない所を徹底的に絵里奈に勉強させられたからなんだけど。
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