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目の前に立っていたのは、幼い顔した中学生くらいの女。
そいつはしゃがみ込んで、いきなりハンカチで俺の頬を伝う涙を拭いた。
「!?」
何コイツ………
「………何やってんの?」
「えっと、涙出てるから拭こうと思って」
「………余計なお世話。どっか行けよ」
軽く手を払いのけたが、それでもこのガキは俺の頬を再度拭いて来た。
何なんだよ………
「はいっ、すぐどっか行きます。涙拭き終わったら。
でもこの涙、全然枯れそうにないですね………」
そいつは困ったような顔して、俺の顔を見上げた。
見れば見る程、幼い顔してる。
………つーかガキが夜出歩いてんじゃねーよ。
「……あ、すいませんっ。余計な事してっ!
それじゃあサヨナラっ」
俺にハンカチを手渡したまま、そのガキは走り去って行った。
「おいっ、これ………」
俺は訳が分からず、その小さな背中をただ呆然と見つめていた。
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