ep.1

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目の前に立っていたのは、幼い顔した中学生くらいの女。 そいつはしゃがみ込んで、いきなりハンカチで俺の頬を伝う涙を拭いた。 「!?」 何コイツ……… 「………何やってんの?」 「えっと、涙出てるから拭こうと思って」 「………余計なお世話。どっか行けよ」 軽く手を払いのけたが、それでもこのガキは俺の頬を再度拭いて来た。 何なんだよ……… 「はいっ、すぐどっか行きます。涙拭き終わったら。 でもこの涙、全然枯れそうにないですね………」 そいつは困ったような顔して、俺の顔を見上げた。 見れば見る程、幼い顔してる。 ………つーかガキが夜出歩いてんじゃねーよ。 「……あ、すいませんっ。余計な事してっ! それじゃあサヨナラっ」 俺にハンカチを手渡したまま、そのガキは走り去って行った。 「おいっ、これ………」 俺は訳が分からず、その小さな背中をただ呆然と見つめていた。
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