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ウォーリーは、流れるような動作で小太りに向き直り、両手を広げた。
「どうしました?私を撃たないのですか?それとも、撃つ度胸がない?」
「舐めやがって……お前を殺す位、訳ないぞ」
小太りは、ウォーリーを見据えて胸に狙いをつける。
例え外しても、胴体ならば一部でも傷を負わせれるからだ。
だが、ウォーリーの両目は、小太りの指に集中していた。
「死ね!」
叫びと共に、放たれた銃弾は、ウォーリーに傷を作る事はなかった。
僅かに体の位置がズレている。その要素を考慮し、小太りが導きだした答えは
「化物……」
だった。視認できない速度の弾丸を放たれたにも関わらず、傷がない。
つまりは、かわされていた。遥かに人間の反射神経を凌駕している。
次の瞬間には、小太りの腹に三発、眉間に一発が侵入し臓器を破壊した。
力なく倒れる寸前に、見た光景は、小太りを睨みつけたウォーリーだった。
残された僅かな時間、ウォーリーに死神を感じとった。
「終わりましたよ。お嬢様」
「そう……早く乗りなさい。次に行くわよ」
「承知致しました」
演技かかった動作で、胸に手を当て一礼すると、車に乗り込みアクセルを踏み込んだ。
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