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その頃、ジークは二輪車を飛ばし、一刻も早く目的地へ向かっていた。
とにかく、迅速な行動を心掛け、日々行動しているジークにとって、あの集団との戦闘は大幅な時間ロスとなっていた。
変わりに入手した二輪車の速度を更に上げ、荒野を駆け抜けるジークの遥か後方で
「もう、まだ追いつかないの!」
車のフロントガラスを叩きながら、叫んだリンスを宥めながら運転するウォーリーがいた。
「まったく、どれだけ飛ばしてるのよ!」
シートに背中を預け両腕を組んだ。
荒野に残った二輪車の跡を追いかけてはいるものの、二輪車の姿は見えてこない。
「お嬢様、推測なのですが、ジークはこの先の国へ入国するのでは?」
「だから何?」
冷たく一蹴したリンスを気にする様子もなくウォーリーは続ける。
「先回りできませんかね?」
「……少し待って」
リンスは、シートの下から地図を出し、広げた。
それを後部座席に投げる。
「ルイス、起きなさい!」
後部座席で本を顔に被せていた男は、憮然とした顔で飛び起きた。
茶髪と赤茶けた瞳がリンスへと向けられる。
年齢は二十代前半であろう若い顔つきだが、寝起きの為か今は老けているように思える。
「よく、起きなかったわね……銃声までしたのに」
「戦闘があったのか?」
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