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「ええ、誰かさんが起きない程の戦闘だったけど」
皮肉混じりに返したリンスに、バツが悪そうなルイスが苦笑した。
気分を変えようと
「ところで、俺は何のために起こされたんだ?」
「この先の国を調べてほしいのです。ルイスなら簡単でしょう?」
運転しながら言ったウォーリーは、前方にあった大きな岩を、鮮やかに避けてみせた。
「……今、どの辺り?」
「さっき、立ち寄った国から南に数十キロかしら」
「曖昧すぎだぜ」
「文句あるの?」
滅相もない、と軽口を叩き、地図に指を乗せる。
数分後、赤い丸印が付けられた地図がリンスの手元に帰ってきた。
「次は、フィリーズって国よ」
「そうですか……先回りは?」
言い淀んだリンスを代弁するようにルイスが答える。
「先回りは無理だ。周囲は森に囲まれてるみたいだぜ」
「なら、答えは一つね!ウォーリー、命令よ!」
「分かりました。少し荒くなるので、しっかりと掴まって下さい」
言うや否や急激に速度を上げ、ルイスが重量に従って後部座席に背中から叩きつけられた。
曲がる度に揺れる車内で、二人が吐き気を催した事は言うまでもない。
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