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ジークは、前方にそびえる城壁を確認すると、更にアクセルを開いた。
爆音が一際大きくなり、スピードも伸びる。
横目で燃料計を一瞥し、半分程の場所を指していたので、再び前を見ようと視線を城壁に合わせる途中で何かがバックミラーに映り込んだ。
「なんだ?砂埃?」
次第に姿がはっきりとしていき、それが車だと分かると小さく舌打ちして二輪車を停めた。
腰に剣と共に無造作にさしていた、銃を抜くと標的にまっすぐ合わせる。
車内では、ウォーリーの荒い運転のお陰で、二人はダウンしていた。
「彼ですね」
ウォーリーが呟き、両目を細める。
「いたの?」
「ええ、こちらに銃を構えてます」
瞬間、車がバランスを失い横転する。ジークがタイヤを狙い撃ちしたのだろう。
煙が薄く出ている銃を腰に戻して、再度二輪車を走らせた。
横転した車から、這い出てきた三人を代表して
「もう!一体どうしたのよ!」
リンスが憤りを爆発させるように、車を蹴りつけた。
ウォーリーは、ハンカチで服についた土を落とす。
「どうやら、タイヤを撃ち抜かれたようですね。良い腕だ」
破裂したタイヤを眺めながら感慨深そうに言った。
「追えないじゃない!」
「入国するしかないぜ?」
頭を押さえながら、ルイスが立ち上がる。
確かに車が動かない以上、タイヤの交換も行わなければならない。
丁度良い所に国があるならば、入国が妥当な判断だろう。
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