第二章 出会い

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「お持ち致しましょうか?」 ボーイの親切を、丁重に断りお盆だけを借りて飲み物が入ったコップを乗せる。 器用にそれを持つと、部屋に戻ろうとした時、ふと、外を見る。 雨雲は去り、太陽が顔を出していた。 洗濯日和だと満足気に空を見上げる。一際背の高いビルの最上階に人影があった。 更に目を細め、注視して、それが何者か分かった瞬間に 「見つけたぜ……リンスに報告だな」 ジークも、ほぼ同時に視線を察知し、ルイスと目が合った。 二人は、地上と頂上で数秒だけ互いを確認して 「これ、部屋に頼んだぜ!」 「……面倒になる前に逃げるか」 同時に駆け出した。 窓を開け、飛び出たルイスは、歩行者を避けながらジークの姿を見失わぬように常に視界に入れていく。 人間にしては、異常なまでの身体能力を持つルイスに、賛美すら送りたくなる程、ジークは手こずった。 地上に目を落とせば、ルイスの影は常に一定の距離を保っている。
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