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じりっ、とウォーリーが間合いを詰めた瞬間、ジークが目の前に現れた。そして、ウォーリーの生命を刈り取るための白刃が煌く。寸前で後ろに回避したが、右腕から一筋の血が流れる。
「なかなか速いですね。少し驚きましたよ」
「止めるか?今なら許してやるよ」
「冗談は止めて下さい。まだ体も温まっていませんよ」
「そうか……」
剣を構えなおしたジークの顔を銃弾が掠った。
「ほら、油断してたら死にますよ」
「てめえ……」
再び銃声が響いた。飛来する銃弾を剣で弾き返す。予想外の出来事にも即応したウォーリーは、卓越した腕で、弾かれた銃弾を撃ち落とす。続けざまにジークに狙いをつけて撃った。
「凄いな……今のはいつ撃ったのかわからなかった」
すぐ隣から聞こえたジークの姿を確認せずに、凶刃をしゃがんで避けながら、マガジンを交換する。攻撃を加えながら、軽やかな動きで翻弄しながら追い詰めていき、焦燥を高めていく。気づけば、剣は握ったままだが、ジークは体の四カ所に銃痕が見えた。
「……続けますか?今なら止めますよ」
「……誰が……」
片膝をついた状態のジークを見下ろす形で、ウォーリーが銃口を向けてながら言った。不敵そうに笑みを浮かべて
「残念です。しかし、リンスお嬢様の希望故、お許し下さい」
ウォーリーは、ジークの後頭部を殴りつけた。重い衝撃が全身を駆け抜けると同時に、視界が白い靄に覆われた。倒れるジークの体を支え、肩に担ぐように持ち上げる。そして、下にいるリンスへと片手を振り
「終わりましたよ!」
「ご苦労様!降りてきて!」
了承の意志を送り、飛び降りようとした所で、ジークから異変を感じとる。
「……これは」
体が小刻みに揺れ、ジークが剣を握り直した瞬間、まるで捨てるかのように放り投げたが、気絶していた筈のジークは、軽く着地してみせた。
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