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「なるほど……これからが本番ですか」
ゆっくり顔を上げたジークは、狂気を思わせた。ウォーリーに劣らぬ殺気を放ち、大地が揺れているのでは、と錯覚させられる程のほうこうが響く。
「さて、まずは様子を見ますか」
ウォーリーが警戒の為に撃った銃弾は、ジークの足元に小さな穴を作ったが、ジークは微動だにしない。一息置いて、次いで頭を狙った凶弾を放った。しかし、ジークは弾丸を遥かに上回るスピードで避けると同時に、ウォーリーに斬りかかった。辛うじて防いだウォーリーの顎が跳ね上がり、体は無重力状態へと陥る。落下地点は目算しても、民家の屋根ではなく固く整備された地面だった。叩きつけられたウォーリーは、唾液の塊を吐き捨てながらも立ち上がる。
「ウォーリー!」
「来てはなりません!リンスお嬢様!」
刹那の間、リンスに気を取られたウォーリーへ容赦ない追撃が降り注いだ。重い斬撃を受け切る事は不可能だと判断し、全てを回避するしかない。頭を少し掠るだけで、意識が遠のく攻撃に、遠慮は微塵も感じられない。ウォーリーも、ただやられているだけではなく、銃撃を数回繰り返したが、どれだけ至近距離にあっても、ジークには当たらない。反射神経のように銃弾をかわしている。
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