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「カーネル、貴様いつの間にここに来た?」
「皆さんが、逃走路の出口を知らないでしょうから追いかけてきました」
カーネルと呼ばれた茶髪に、スキンヘッドの鋭い視線が刺さる。
『ケルベロス』隊長すらも把握できていない逃走路をカーネルが何故知っているのかという懸念はあるものの、今はジークが最優先と考え
「食えない男だ……説明してもらうからな」
踵を返して言った背中に、了解、と小さく敬礼したカーネルは、ジークの両手を掴むと、そのまま自分の腹部へ押し当てた。ワザとらしくうずくまる。
「逃げて良いよ」
「どういうつもりだ?」
カーネルからしてみれば、ジークを逃がすことになんの利点もない。
なんらかの裏があると読んだジークはそう返した。
「君に興味があるんだ……それだけだよ。早く逃げろ」
「奇妙な奴だな。名前は?」
「アデレード・カーネルだ。君を殺す男、覚えておいて」
聞くと同時にジークは駆け出した。スキンヘッドが気づいた時には既に遅く、もはやジークの姿は無かった。
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