1章 発端

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この国の中心地、聖都に一際大きなビルがある。 そこの最上階の一室に、少年はいた。 窓からは太陽の光がこぼれ、鳥のさえずりが聞こえていた。 「ふわぁぁぁぁ」 その音をかき消すかのように、大きくあくびをする少年。 彼は部屋の中央にある椅子に座っていた。 「しっかし、暇だな・・・」 少年は机に足を乗せて頭の後ろで手をくんでいる。 そして後ろにもたれる。 絶妙なもたれ加減で、後ろには決して転けない。 バーン!!! 突然ドアが開き、すらりとした女性が入ってきた。 「?!!!わ!!!」 少年は思わず後ろに体重をかけてしまい、倒れてしまった。 机の上にのっていた書類が空中を舞う。 「そこは私の机でしょ?!」 女性が少年に言った。 「いいじゃないか・・・ナギ姉。暇なんだし。」 少年が書類の中から頭を押さえて顔をだした。 「そんな暇なあなたに任務よ。今から西の暗黒の森に向かって。」 ナギと呼ばれた女性は少年に任務の書かれた紙を渡す。 少年はそれを受け取り眺めた。 「・・・わかったよ。またチェスカか?」 「わからないわ。でも今とても緊張状態なのよ。私達も警戒を強めなければ。」 「はぁ・・・。いつになったら終わるんだよ?この戦いは。」 少年は立ち上がって言った。 「それはあなたが一番わかってるんじゃない?」 「・・・・・そうかもな。じゃ、行ってくる。」 少年はコートを羽織り、部屋を後にした。 「・・・気を付けてね、ライ・・・」 ナギはライの背中を見つめながら言った。 .
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