第一章

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「非国民」 凄く不思議だった。何故戦争を反対することが国民として反しているか、何故みんな喜んで戦争に出ているのか。 どこを歩いたって俺は白い目を向けられ、誰だか分らない人に罵声を浴びせられる。 俺は言い返すことはしない、だって悪いことをしたわけじゃないし国事態を批判したわけじゃないから。 ただ何故戦争をするのかと思い兵として訓練に参加していないだけだ。 「おい、藤原だな」 軍服を来た色黒の偉そうなおっさんに声をかけられる。多分上のお方なんやろーなと思いながら顔を向ける。 「あ?」 生まれつきの体系の良さと低い声で一言いえばそれだけで相手はひるむ。でも、一瞬だけ。 「なんで訓練に参加しないんだ?」 「僕は兵隊じゃないんで」 「では兵隊になりなさい、それが大日本帝国の国民としての義務だ」 義務。 くだらないと思いながら、考えときますと言い会釈をしてその場から離れていく。 どうせこの国は負ける。 俺だって死ぬかもしれない。 なら、 少しの間だけでも自分がしたいように長生きしてやる。 わざわざ死にに行く義務なんて俺には理解できなかった。  
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