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階下で待ち構えていたゾンビ達は、我先にと、泉と、中年女性の体に向かって行く。
最早、逃げる事など出来ない。
落下の衝撃で頭を打ってしまい、泉は意識が朦朧としていた。
そんな泉の瞳に、自分よりも遠くへ投げ出された、あの中年女性が見えた。
どうやら彼女は、意識がはっきりしているようだ。
恐らく、頭を打たずに済んだのだろう。
しかし、それが逆に、彼女にとっては災いとなった。
数十体のゾンビが彼女の体に群がり、その体に歯を立て、肉を貪り始めた。
意識がはっきりしている中で、自分の肉を貪られるのは、想像も出来ないくらいの苦痛が伴うだろう。
その証拠に、体育館内には、中年女性の断末魔の悲鳴が響き渡った。
それは、およそこの世のものとは思えない程の、おぞましいものだった。
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