イアン

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人が死んだ。 それは最近の僕にとってあまりに当たり前なことだ。 最近真夜中の訪問者が多い。 狙いはこの国の秘密。 医療技術にある。 どこの国よりも最先端で洗練された技術。 しかし渡せと言われても渡さない技術なのだ。 理由は分からない。 僕は知らない。 人の死が日常になることは決して馴れないことだった。 「うっ、オエっ」 吐くのを我慢し、キッチンへ向かう。 親にバレないようにゆっくり歩く。 コップに水をそそぎ、ゆっくり飲み干した。 「毎日毎日、具合が悪い」 馴れることのない不快感に悩む。
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