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平穏、そして日常。
当たり前だと思っていた。
この頃の俺にとって、そんなものは当たり前の様にそこに在ったから。
平穏な日々。大した変化もなく、ただ平和に過ぎていく毎日。
‥だから、考えもしなかった。
この無味乾燥で退屈な日々が壊れてしまうなんて。
何もなかった毎日が、こんなにも幸せな日々に思えるなんて。想像もつかなかった。
災難なんてのは突然降ってくるものなんだな。そう思った。
もしもあの日、もしもあの時、偶然にも俺があの場所に居合わせなければ、今でも平穏な日々を送っていれたのだろうか。
俺の中の些細な平和。
些細な日常。
あまりにも呆気なく崩れて行くものだから。振り返る暇もなかった。
俺のちっぽけな世界が、何か大きな流れに‥
宛ら激流に呑まれた小石の様に。
流されてゆく。
あぁ
世界は
こんなにも広かったんだ
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